ベルン市街を散策して歩き疲れたので、夜はぐっすり眠ってしまいました。
翌朝ホテルで朝食を済ませ、チェックアウトし、ベルン中央駅へ向かいました。
ホテルの受付の方に挨拶をして、ホテルを出ました。
Auf Wiedersehen!(さようなら)
Tschuess!(さようなら)
地図を片手に歩いていると、ベルン中央駅に向かう途中で、女性に声を掛けられました。
おそらく観光客に見えたのだと思います。
「どうかしましたか?」
「あっ、いえ、ベルン中央駅に行きたいんですけど」
「あっ、そう、ベルン中央駅はね・・」
そこにもう1人、男性もやって来ました。
「あっ、ちょうど良いところに来たわ。道が分からないらしいの、案内してあげて」
男性は私に聞きました。
「どこに行きたいの?」
「ベルン中央駅です」
「ベルン中央駅か、じゃあ、着いて来て」
「じゃあ、お願いね」 女性はそう言うと、ほかの道を歩いて行きました。
「君は日本人かい?」
「はい」
「日本は何度も行った事があるよ」
「あっ、そうですか、日本のどちらに?」
「東京、横浜、名古屋、福岡、札幌・・7回行ってるんだ」
「そんなに!? お仕事ですか?」
「うん、仕事もだけど遊びも兼ねてかな」
「君は何しにスイスに来たの?仕事?」
「いえ、観光です」
(ずいぶん話し慣れてる感じだし、親切だけど何か不安だな・・騙されてお金でも取られるんじゃないかな?さっきの女性と知り合いなのかな?)
「ベルン中央駅からはどこへ行くの?」
「ロシニエールです」
「ロシニエール?ロシニエールか・・ずいぶん観光客が行かないような所に行くんだね?」
それから駅の案内所に入り、彼は駅員と行き方を話しているようでした。
「あのね、ツヴァィジンメンで乗り換えれば一番早いよ」
「ローザンヌとモントルーを経由して行こうと思ってたんですけど」
「それじゃあ時間も掛かるし遠回りだよ。ツヴァィジンメンで乗り換えた方が早い」
駅の電光掲示板を見て、彼は言いました。
「俺も日本人には世話になってんだ。だからこうして、困ってる日本人を見掛けると案内役をしてるってわけ。じゃあ、気を付けてね」
そう言って手を振ると、彼は駅のホームへ去って行きました。
「そういう事だったのか」
ずいぶん親切だったので、騙されてお金でも取られるんじゃないかと心配しましたが、どうやら本当の善意だったようです。
列車からローザンヌとモントルーの街を眺めながら行きたかったのですが、予定を変更して、ツヴァィジンメンを経由して、ロシニエールに行く事にしました。