ハイジの泉に運よくたどり着いた私は、ハイジの泉で少し休んだ後、ハイジの泉を後にしました。
今度はハイキングコースの中を歩くのではなくて、道路沿いを歩いて、マイエンフェルト駅に戻ろうとしたのですが、
「えーと、どっちだったっけ?」
というより、ハイジの泉を拠点に右方向、左方向、どっちから行ってもマイエンフェルト駅には戻れるのですが、「ここからまた駅まで歩くのはかなりしんどいな」と思いましたが、帰るしかないので、
近くにお手洗いと駐車場があり、お手洗いに行った後、駐車場に人がいましたので、道を尋ねました。かなり歩き疲れていたので、少しでも短い距離で戻りたかったからです。
「すみません。マイエンフェルト駅へ行きたいのですが、どちらの道が近道ですか?」
「マイエンフェルト駅?」
「はい、駅です」
「マイエンフェルトじゃなくて、マイエンフェルト駅ね」
「はい、マイエンフェルト駅です」
「乗って下さい」
「え? あっ、いえいえ、道を教えて頂くだけでいいんですけど」
「いいから、いいから、乗って下さい」
申し訳ないと思いながらも、車に乗せて頂きました。男性でした。
男性は車を走らせると、「君はどこから来たの?」
「日本です」
「日本か、何語が話せるの? 英語?ドイツ語?フランス語?イタリア語?」
「すみません、どれも話せないんです。英語が少し話せるだけです。日本語しか話せません」
「日本語か、私も駄目だ」
「君は何しに来たの? ハイキング?」
「ハイジファンなんです」
「あっ、そうなんだ」
そうこう話しているうちに、あっという間に駅の近くまで来てしまいました。
男性は笑いながら、「ははは、あそこに日本のハイジのアニメの絵があるじゃない」
一番最初にマイエンフェルト駅に降りた時に通ったレストランでした。
男性は車を駅前の道路の端に停めると、切符売り場の所に行って、切符まで買ってくれようとしていました。私は、「あっ、切符は持ってます」と言いました。
「あっ、切符持ってるの、じゃあ、気を付けてね」
そう言って立ち去ろうとしたのですが、「車に乗せて頂いて申し訳ないので、ほんの少しですがお礼を」と言うと、
「いやいや、お金は要らない、大丈夫だよ。気にしないで下さい」
そう言って立ち去って行きました。