時が止まったような村シルス・マリアを歩く スグラフィット装飾の家

折り返し地点で、少し休憩を取ると、また馬車に揺られて戻りました。
向かう時もそうだったのですが、列車でも同じ事なのですが、歩く度に、走る度に、景色が変わるのです。

特に帰りは、やや下りなのか、馬車の上の方から景色を見る事が出来ました。
途中登りの馬車と、何度かすれ違いました。
人を乗せているのではなく、荷馬車もありました。

シルス・マリアから南に延びるフェックス谷は、許可された住民以外は、車の乗り入れが禁止されている谷だと聞きました。
ですから、観光用の馬車とは別に、未だに馬車が重要な交通手段となっているとの事です。

行きもそうでしたが帰りも、山や野や川や、辺り一面のお花畑で、本当に美しい村でした。
静かで時が止まったような感覚を覚えました。

馬車での散策を終えて、元のバスの停留所の近くに戻って来ました。

ちょうどお昼の時間でしたので、昼食を摂る事にしました。
あちこちにレストランやホテルがあり、メニューの看板も出ていました。
ホテルのレストランは、宿泊していない人でも利用出来るようでした。

私はどこのレストランにしようか迷いましたが、ドイツ語圏で出るような固いお肉やパン、味の濃い料理は食べられないので、メニューの看板を見て、お店の人に尋ねました。

どうやらロマンシュ語圏の料理らしく、その地方の料理のようで、量も選べるようなので、そのお店で食べる事にしました。

メニューを見て選んだのですが、太いメンのウェーブの掛かったほうれん草のパスタでした。
パスタのスープは白いクリームスープで、野菜の刻んだものも掛かっていました。

パンも小さくて柔らかいパンでした。

この量で、これなら食べられると思いました。とても美味しそうでした。
ただ、「どうみても普通のパスタなんだけど、どこがその地方の料理なんだろう?」と思いました。

食べてみると、とても美味しかったです。

ベルンやグリンデルワルト周辺のドイツ語圏の料理は、どうも私は食べられないようです。
現地の日本人も、食べられない人もいるようでした。
以前ドイツに行った時もそうだったのですが、お肉もパンも固くて、料理も味が濃くて、調味料もきつくて、量も多くて、食べられないのです。

ハイジの舞台であるマイエンフェルトに来てから、食べ物が美味しいと感じるようになって、これなら食べられると思いました。

やはり日本人で、麺やパスタ、日本食、中華、フランス料理、イタリア料理などを食べ慣れているせいか、ドイツ語圏の料理は合わないのでしょうか?

お昼を摂った後、シルス・マリアの村を散策しました。
家やホテルやレストランや、建物が窓も作りも、建物の色もデザインも、お菓子のようで、かわいらしくて、おとぎの国のようでした。

後で知ったのですが、この地方の特徴として、厚い壁と小さな窓、そしてスグラフィットと呼ばれる装飾があり、壁が厚く窓が小さいのは、冬の厳しい寒さへの対策で、スグラフィットというのは、模様を描き出す技法の事で、ルネサンスの時代に発展し、16世紀頃にヨーロッパ各地に広まったとされています。

エンガディンでは、多くの村の建物の壁が、このスグラフィットで美しく飾られているとの事でした。
またスグラフィットでなくても、装飾が施された壁も多いようです。
建物の窓や作り、色やデザインも、どうりで綺麗でかわいらしいと思いました。

哲学者のニーチェが晩年を過ごしたという家、ニーチェハウスもありました。

スイスは本当に、どこへ行っても、山では花が咲き乱れていて、お花畑も見られますが、村や町でも至る所に、家の窓にも、道にも、ほんのちょっとした所にも、綺麗に花が飾られていて、やっぱり観光の国だと思いました。

スイス全土で見られるのですが、観光の国だからなのか、窓辺が花で飾られ、何も無い所に華を添えるというか、無機質な家の壁と、美しい対比を見せているとの事です。

村全体が、時が止まったように静まり返っていて、清潔で、とても綺麗でした。
こういう所に、本当に人がいて、実際に生活しているんだと思うと、不思議な気持ちになりました。

スイス第4の公用語であるロマンシュ語が使われている地域でもあるようです。
小さな村でしたが、人口は何人位なのでしょうか?

散策した近くには、川が流れていました。
この川は馬車で散策したフェックス谷の方に流れているようですが、どうやらシルヴァプラナ湖に繋がっているようです。この川は水源は、フェックス氷河を水源としている川のようです。

イン川はシルス湖には繋がっているようです。
シルス・バゼリアやシルス湖までは歩けませんでした。

私はまた、黄色いポストバスに乗って、サンモリッツに帰りました。